Friday, July 13, 2007

残ってくれ、来年も」の声が重かった イチローの一問一答

イチロー外野手が、シアトル・マリナーズと2012年まで正式に契約を延長した。以下は、当地で行われた記者会見の内容。

——いつ決めたのか?
「いつという、この日はないんですけども、このシーズンが始まって、いろんな遠征にいくわけですけど、その時に、アウエーのファンがビジターの僕に対して、『来年は、うちのチームに来てくれ』と、言ってくれたんですね。正直、心が動いた時期もありました。日本のファンからは、日本に戻ってきてくれと、たくさん聞きました。でも最終的には、遠征から帰ってきて、『シアトルに残ってくれ、来年も』というその声が、僕にとっては一番重かった。これが一番の理由だと思います」

——マリナーズで引退を考えているか?
「ひとつのチームでプレーするということは、なかなかたくさんのプレーヤーができるわけではないと思うんですね。その可能性、チャンスを与えてくれたことに、感謝していますし、向こう5年半、思いっきりやって、5年契約の後の10年(契約)を勝ち取りたいと思ってます」

——契約問題の煩わしさが消えたか?
「キャンプの初日に、フリーエージェントに関しては、今日だけにしてくれと言ってきたんですけども、そのことが7月に入ってから、またちょっと騒がしくなってきて、これがすべて終わったと思うと、契約したことと同じくらい、うれしいですね」

——誰が一番影響を与えたか?
「一弓ですね」

——なんて?
「ワンワンワン言ってた」

——チームの方向性については?
「今の状況というのは、(優勝を)十分考えられる。僕たちのポテンシャルを考えれば、十分考えられる成績ですし、この2、3年、苦労してきたチームが、ようやく実り始めた、というふうに感じています。この5年というのは、十分に可能性のあるチームで居続けることができると、僕は思ってます」

——チームメートなど、周りの人がどんな影響を与えたか?
「チームメートに、自分が考えている野球に対する考え方とか物事に対する価値観が全く伝わらないというのはつらいものですが、幸いにしてこのチームには、何人かその価値観を共有できる人たちがいるので、そのことは確かに僕にとって大きな助けになった」

——5年後がイメージできる?
「パフォーマンスに関してはもちろん、その自信がありますし、見た目もこのままでいたい。急にアロハシャツとか着出したら、ちょっと、ここに染まった証になりますから、それは避けたい。まあ、DH(指名打者)にはなりたくない」

——トニー・グウィン、カル・リプケン(いずれも、ひとつの球団でキャリアをまっとうし、今年野球殿堂入りする名プレーヤー)らをどう考えているか?
「そういう選手の方が、少ないですからね、アメリカでは。日本だと、外に出ることの方が難しい、というか、珍しいことですよね。ここでは全く逆なんで、茶髪の増えた中で、黒髪がすごくきれいに見えたり、すごくかっこよく見える」

——評価について、どう考えているか?
「ひとりの選手に対して、これだけの評価を与えてくることは、それを示している。この評価って、年俸が500万円だとしたら、弥生時代からプレーしないと、達成できない数字なので、その評価ってすごいと思うんですよ。1000万でも、多分平安時代ぐらいですから、このことが、僕にとっては、個人としてはね、気持ちを表してくれた。チームの意識も、勝っていくことによって変わってきている。動きも変わってきている。このことを実感できたことが大きかった」

——自分で選ぶ体験というのは?
「想像通りでしたね。流れに任す方が、よっぽど楽だなあと想像してましたし、その通りだった。力のいることだった。ただまあ、そういう選べる立場にいることは、選手として、すごく幸せなことなんで、そうやって、6年半、自分をプレーヤーとして高めてこられたことには満足してます」

——苦しさは?
「遠征先のベットに入ったときにも、考えることってあるんですよ。この街に来たらどうなるかとか。それは、できればない方がいいですから」

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