Thursday, July 31, 2008

イチローの妥協なき日常の原動力とは? 一問一答(3)

2008年7月30日 (水) 17:51 MAJOR.JP

【アーリントン29日=丹羽政善】日米通算3000本安打を達成した試合後のインタビューも後半に差し掛かると、イチローは自身を追い込む原動力や、これから先のことについても語った。

——ヒットを打つ執着を周りの選手から感じるか?
「ほとんどないですね。けど、王(貞治)監督は、(現役時代に)ヒットを打ちたいという気持ちが自分より強いと思う人はいなかったらしいです。ただ、『イ チローは自分より強いかもしれない』って言ってくれたことがある。日本でやっているときですけど、それはうれしかったですね」

——4000本安打は見えているか?
「ものすごく遠くですけど、まだ見えないことはない」

——妥協なき日常。言い訳を作らない。強く自分を追い込める原動力は?
「僕が、何かを自分のために生かすことというのは、人のことを見て学ぶことが多いんです。人の行動を見ていると、すごく気になることがたくさん見えてき て、それを自分に生かすというやり方で、ずっとそうやって、今の自分があるような気がするんですよ。その中から、自分の信じているものなんかが生まれてき て、それを生かしていく。1994年に210本打って、給料が10倍になったわけですよね。あのときから、自分に対する責任、自分が負っている責任という ものを、考えるようになりましたね。自分の行動や、発言によって、大きな影響が出るということを。それからというのは、今これを人が見ていたら許さないだ ろうな、という行動はなるべくしないようになっていきましたよね」

——相手の視線を意識し、また相手を鏡にした?
「そういうことを考えるようになったのは、14年前かな。で、アメリカに来て、また想像していたものと違う世界があったわけです。いいことも悪いことも。 アメリカでは、特にはっきりと答えが出るので、僕にとってはすごく助けになりました。『あっ、ああやってやらなければいいんだ』ということが、あまりにも たくさんあって。あのね。『こうした方がいい』というのは答えが出づらいんですよ。でも、明らかに『それはまずいよね』という中には、はっきりとした答え がたくさんある」

——「これがいい」と追いかけるより「これをしてはいけない」と考える?
「どっちかと言うと、それが多いですよね」

——これから先という部分をどう見ているのか?
「ちょっと抜きながらやるというのが、僕のやり方なので、そこは人の目をごまかしたいな。残念ながら、アメリカには固定観念みたいなものが非常に強いの で、それとの戦いとは当然出てきますよね。だから、そこをいかにだましていくか。目いっぱいやってはいけないですよ。解釈によっては、いろんな意味になっ てしまいますけど」

——目標は変えていく?
「それは、常にそうですよ。今回だってそうですよ。オールスター前にやりたかったけど、できなかったら、次のプランを立てるわけですから。そうやって、も ちろんやっていきますよ。何かがこう、イメージと合わなかったときや、計画通りいかなかったときは、当然そういうことをやりますよね。そうしなかったら、 今度、前に進むことができないので」

イチロー、「張本さんの言葉思い出した」 一問一答(2)

2008年7月30日 (水) 17:13 MAJOR.JP

【アーリントン29日=丹羽政善】日米通算3000本安打を達成したイチローの試合後のインタビューでは、それまで日本球界で唯一3000本安打を達成した張本勲氏(元東映:現日本ハムほか)や、「日米通算」の持つ意味についても話題が及んだ。

——誰かの顔や、誰かの言葉が思い浮かんだか?
「張本さんですね。1995年の春に『3000本を打つのは、おまえだ。首位打者(7回)を抜くのも、おまえだ。最終的にヒットの記録をおまえに抜いても らいたい』って言われたんですよ。なので、そのことを一番思い出しましたね。張本さんは、覚えてないかもしれないですけど」

——その張本氏は、もう、「あっぱれ」というコメントを出している。
「まあ、そこは、あえて『喝!』と言ってほしかった。『あっぱれ』と言ってしまいましたか。どこまでも『喝!』と言い続けてもらいたいですよね」

——張本氏から3000本と言われた当時、実際にイメージできたか?
「できないですよ。200本を打った翌年、オープン戦の東京ドームだったと思いますけど、張本さんが本当に今日のこの日を想像して言われていたら、すごい ことですよね。かといって、誰にでも言うわけではないと思うんですよ。だから、何かの確信か、確信までいかないまでも、何かを感じていってくれたと思うん ですよね」

——張本氏は、日米通算4256安打とメジャー3000本を目指してほしいと言っている。
「そこのギャップが面白いところですよね。3000を打った人は、結局は、細かい小さなことの積み重ねを知っているわけじゃないですか。その人が、いきな り4000とか言うのが、おかしいですよね。そこが面白い。憎めないなと思ってしまいますけど。僕の目標として、来年のシーズンが終わるときに、(メ ジャー)2000本を達成したいとは思ってます」

——日米3000本について、多くが通過点と認識しているが。
「いいんじゃないですか。実質15年のシーズンでしたけども、ここまで、まあ、いいですよね。ペースが。悪い気はしないですよね」

——通過点と他人から言われることは?
「そこで反発する僕はいないですから。いいんじゃないですか。だって、そこへ辿り着くまでに感じていることは、別に人が知る必要がないこともたくさんありますし。知ろうとしてくれたら、それはそれでいいし」

——「日米通算」の記録だが、移籍の制約がなければ20代前半にメジャーで積み重ねたかったか?
「そこはもう、言ってもしょうがない。日本で積み上げてきたものは、安打だけではなく、凡打の中にも僕の技術を磨いてくれたものだし、日本時代に養われた 技術をこちら(アメリカ)で使って、僕はヒットを打ってるわけですよね。ですから、そんな発想はしないですよ。例えば、18か19のときに来てたら、とは 考えない。そもそも、技術がまだないんだから。だから、そのときに(メジャーへ)来てたら、今の僕はない可能性の方が高いんじゃないですか。そういう発想 は、考え方も含めて、日本時代に養われた。で、アメリカの人の中には、『日本でのヒットなんか(たいしたことがない)』みたいな考えが絶対あると思う。で も、申し訳ないけど、アメリカでのヒットのペースの方が速いんですよ。だから『日本の方がレベル高いんじゃないの』みたいなことは言えますよね。(アメリ カの方が)試合数だけ多いからっていうのだと、ちょっと弱いけどね。そこはちょっと、誇りにしているところ」

——その議論は、イチローがきっかけになったが。
「まあ、最初はやっぱり気持ちいいよね。何にしても。世の中の議論を巻き起こすのも、自分がそこにいるっていうのは悪い気はしないよね。ただ、議論に対して、それでいいと思うよ。日本とアメリカを合わせて、3000。それでいいと思うね」

イチロー、敵地での大歓声に「戸惑った」 一問一答(1)

major jp

【アーリントン29日=丹羽政善】レンジャーズ戦の第1打席でレフト前へヒットを打ち、日米通算3000本安打を達成したイチロー。試合後、多数の報道陣に囲まれる中、その心境を語った。長時間に及んだインタビューのもようを3回に分けて紹介する。

——打ったときの気持ちは?
「『詰まった』と思いました。アハハハハ。ちょっと狙っていたので、初球を。1球目に決めようと思っていた。決めたかった。絵的にも、それが一番、さまに なると思っていたので、1球目にいった。それがホームランになれば一番いいので。あっ、でも詰まった、と思いましたね。でも、ヒットだ、みたいな(感 じ)」

——狙っていた割には、自然なスイングに見えたが。
「狙いにいっても、『詰まる』と体が感じると、ああいう動きになると思いますよ」

——節目の数字に届いて、あらためて思うことは?
「1992年に初ヒットを打った。まあ、嫌々打った初ヒットですけども。一軍を拒否して、行かされた福岡遠征でのヒットだったので、嫌々だったんですけど。それからここまで、別に長いとは思わない。でも、この1週間はやけに長かった」

——なぜ長かったのか?
「意識をさせられて、結果を出せない日というか、打席が続くことでしょうね」

——すぐに、3001本目が出た。思うことは?
「いつも通りですね。節目を超えた後の1本はすごく大事なので、あの1本は僕にとって、すごく価値のあるものでしたね」

——プレッシャーとのつき合い方が上手になった、と傍目からは見えるが。
「とてもそうは思えないですね。まあ、時間次第だと思っていた。バットを振ってれば出るんだから。普段なら外で練習するものを(わざわざ)しなかったりも しましたが、それは僕にとって必要なことだったので、やりました。それが、今までの経験によるテクニックかどうかは、ちょっと分からない。でも、そういう ことをしましたよね」

——(敵地にも関わらず)意外にも拍手が多かった。その反応については?
「何もないと思っていたので、すごく戸惑いましたね、かといってこんなこと(ヘルメットを高くあげる仕草)はできないし、でも、無視はできないというところ。すごく戸惑った」

——2回、ヘルメットを脱いで声援に応えたが。
「えっ、もう1回? っていう感じになりました。しかもテキサスでは、割と静かな、のんびりとした雰囲気でやっているので、(大歓声を)一番想像ができない」

イチロー3000安打!日本の誇り2175試合目

スポーツ報知

節目の一打に、2人の偉大な先人の名前を口にした。まずは現在野球評論家の張本勲氏だ。もちろん、通算3085安打の日本記録保持者だ。「95年の 春に、3000を打つのはお前だって。そして、最終的にヒットの記録をお前に抜いてもらいたいって言われたんですよ。そのことを思い出しますね」そして、 868本塁打している王貞治・ソフトバンク監督の言葉も脳裏に浮かんだ。「(王さんは)ヒットを打ちたいという執念が、自分より強いと思った人はいなかっ たそうです。ただ、イチローは自分より強いかもしれないって言ってくれた。それはうれしかった」いずれも背番号51が日本でプレーしていた時代のこと。殿 堂入りした2人は、安打製造機の未来が見えていたのだろうか。  


3000安打が日米通算の記録に議論もある。メジャーでの記録ではないという意見に対しては、毅然(きぜん)とした姿勢を見せる。「米国人の中に は、『日本のヒットなんか…』みたいな声は絶対あると思うけど、米国でのヒットのペースの方が速いんですよって言い返しますけどね」日本時代は1・34本 だが、メジャーでは1・41本と1試合あたりの安打数は増加。「だから日本のほうがレベル高いんじゃないの? と言えますよね。そこは誇りにしている」む しろ日米通算であることに胸を張

Monday, July 07, 2008

オールスター選出のイチロー、開催地に「運命的なもの感じる」

【シアトル6日=丹羽政善】イチローがオールスターのファン投票で選出圏内のア・リーグ外野手3位を確保し、メジャーデビューから8年連続で「真夏の祭 典」に参加することになった。この日のタイガース戦が終わった後、イチローは記者会見を開き、選出された心境を独特の表現で語った。

——オールスター8年連続出場が決まった。
「特別なオールスターとしては、3つ目になるのかなあ。シアトルと去年——去年は結果的にそうなったということですけど、今年は、最後のヤンキー・スタジアム…。もう一度、ヤンキー・スタジアムでプレーさせてもらえる機会を与えてもらった、という感じですね」

——チームの成績、自分の数字も満足できるものではなかったが、それでもファンに支持された。
「まあ、『ちゃんとやれよ』って言われてるんでしょうね」

——ヤンキー・スタジアムという部分で、運命的なものは感じるか?
「ないわけがない。多分、ニューヨークのファンも僕のことは相手として好きだし、ファンと敵の選手としての会話が存在する唯一の場所ですから、常にそういうものは感じます」

——日本時代のオールスターの回数を超えたが。
「まあ、8年やってますからね。今でもパズルのひとつですから。前半戦の大きなひとつですからね。それをなんとか、『いただいた』という感じですかね、そのピースを。自分ではめたというよりは」

——昨年MVPを獲った。そこで、行かなければいけないという思いはあったか?
「なかったですけど、知らないところで(僕が)オールスターのコマーシャルに使われていたので、それを聞いたとき、これは行かんといかんなあとは思いました」

——オールスター連続出場も、200安打も同じような重みか?
「いや、別ものですよ。別のものとして大きい。当たり前のようにいたいと思っているけども、当たり前の感じはないもんね。まだ、そこまで行っているような気がしない。オールスターに関しては、それが目標。当たり前のようにいるというのが」

——福留孝介選手(カブス)も選ばれたが。
「僕も、もうちょっと余裕があれば、他の選手のことも気にできるんだけど。残念ながら、そういう状況ではなかったので、『おめでとう』ということだけです」

Monday, September 10, 2007

イチロー、100得点で「オンリー・ワン」の存在に

2007年9月10日 (月) 9:47 MAJOR.JP

 さて、初回にホームを踏んだイチローは、今季100得点を記録した。シーズンで「200安打、100得点、30盗塁」を記録したのはこれで7度目だが、イチローはこの日、“オンリー・ワン”になっている。

 これまで、球聖と呼ばれたタイ・カッブ(元タイガース)と、ウィーリー・キーラー(元オリオールズほか)が、「200安打、100得点、30盗塁」を6度記録しており、イチローも去年、彼らに並んだが、この日の得点でイチローは彼らを超えたことになる。

 その感想を問えば、イチローは言った。

「まあ、1個片付いた、という感じだね」

“1個”とは、これからまだまだ、記録を塗り替えていきますよ、という意思表示だろうが、そんなカッブやキーラーを現代に蘇らせるような行為に快感を覚えるかと聞けば、「まあでも、最近の記録——僕が関わる記録って、そんなんばっかだから、『またか』っていう感じだね」と、何気なさを装った。

 本心か? それは分からない。

 ただ、である。そのすごさを改めて考えれば、言葉がない。キーラーの記録も、カッブの記録も、一般的には打者有利と言われた時代のもの。その考え方には最近になって異論も出ているが、いずれにしても、もう破られないだろうと、逆に誰もが忘れていたような数字である。

 ジョージ・シスラー(元ブラウンズ=現オリオールズほか)の年間最多安打を破ったときもそう。イチローは、そういう人たちの名を身近にした点でも、その貢献がたたえられていい。

 そういえば、シスラーの記録を破ったとき、シスラーの家族の方が「イチローのおかげで、『ジョージ・シスラー』という名を、多くの人が思い出してくれてうれしい」と話していた。

 来年、イチローはキーラーが持つ、8年連続200安打に挑戦する。記録更新はまだ先だが、再びイチローは、キーラーという名を、表舞台に呼び寄せることになる。

イチロー、大台到達に進化の手応え「マイナスがゼロに」

2007年9月4日 (火) 8:01 MAJOR.JP


【ニューヨーク3日=丹羽政善】初回、イチローがいきなりロジャー・クレメンスからライト前ヒット。試合開始から5分も経っていなかった。リーチをかけて望んだ2打席目は、同点の3回。やはり先頭で打席に立つと、カウント0−2からの3球目をとらえ、打球を右中間スタンドの最前列に運んだ。

 打った瞬間の感想を、イチローはこう振り返る。

「この球場なら、という感じ。普通でいうなら、抜けてほしいと思うところだよね。ニューヨークだったって途中で思って…という感じかな」

 走りながら、悦に入る。

「しばらく出てないホームランがここで出るって、なんかあるよね。ちょっといい感じだなと思っちゃった。『おお、いい感じ、いい感じっ』って」

 試合展開の中でも大きな本塁打だった。9連敗中のマリナーズは、ワイルドカードを争っているヤンキースに先行を許す。2回に追いつき、先に勝ち越したいケース。イチローの本塁打は、ぐっと流れを引き寄せた。

 連敗中のチーム。雰囲気はやはり、「最悪だった」という。その中でも、ヒットを積み重ねる。イチローは言った。

「どんな状況でも、個人の仕事はやらなきゃいけない。そこで同じように数字を残すことっていうのは、マストですね」

 その中で見えて来たこと——。今年は200本達成前に、ニンマリとするような収穫を得ていた。

「170安打から190安打の間。それは、去年苦しんだ期間だったんですけど、そこを超えたいなあと思っていた。そこを強く意識してプレーして、超えた。そこを超えたことの方が、今回はうれしい」。

 過程では、技術的な手応えを感じたよう。ただそれは、「プラス」ではないと、逆説的に言った。

「これまでとは違う。少なくとも去年とは違う。マイナスがゼロになったという感じですね」

 昨年までは、達成が間近になると、邪念が生まれた。そこに惑わされ、苦しんだ。今年、そこが消えたがゆえに、「マイナスがゼロになった」という感覚が生まれたようだ。

 話を変化を必要とした技術的なことに戻せば、こう言っている。

「去年変えたことがあって、それを続けてくつもりだったんですけど、それがどうやら違ったんでね。シーズン中に変わっていたことです」

 具体的なことには触れぬも、自分だけが確信する感覚。それが首位打者奪回をも射程圏に入れた選手の自信とも映った。

 さて、記念ボールである。

 スタンドに飛び込んだことで、イチローも心配したよう。ただ、ヤンキースファンが、グラウンドに投げ返した。まず、それを拾ったライトのボビー・アブレイユは、そのボールの意味に気付いていないようだったが、セカンドのロビンソン・カノが、ボールを渡せと、必死にアピール。おそらく記録のことを知っていたカノは、それを三塁ベースコーチのカルロス・ガルシアに投げた。

 その過程までは見ていなかったというイチローだが、手にしたボールを見つめ、彼は安どした。

「ありがとう、ありがとうと思いました。でも時々、違うボールを投げる奴がいるから、それがちょっと怖かったけど」

 はて。今回の記録では、年間最多安打を打った時のように、シールが張られた特別なボールを使用したわけではない。

 それが、本物であると、証明できるわけではないけれど。

7年連続200安打 イチロー、一問一答

2007年9月4日 (火) 7:56 MAJOR.JP
【ニューヨーク3日=丹羽政善】シアトル・マリナーズのイチロー外野手が、ニューヨーク・ヤンキース戦でメジャー史上3人目となる7年連続の200安打を達成した。ここでは、試合後の会見を一問一答形式で紹介する。

——記録達成。率直な感想から。

「まあ、170本から190本の間——。それは、去年苦しんだ期間だったんですけど、僕は今年、そこを超えたいなあと思っていて、そこを強く意識してプレーして超えられたので、まあ、そのあとはスムーズにいくなあと思って、実際そうだった。それを超えたことの方がうれしいかな、今回は」

——本塁打を打った手応えは?

「この球場なら、という感じ。普通でいうなら、抜けてほしいと思うところだよね。ニューヨークだった、って途中で思って…という感じかな」

——クレメンスから打った。

「投げているボールは全然違うけど、まあ、名前がビッグネームなんで、いい記念にはなったね」

——走りながら感じたことは?

「しばらく出てないホームランがここで出るって、なんかあるよね。ちょっといい感じだなと思っちゃった。おお、いい感じ、いい感じって思ってた」

——ホームランボールがスタンドから返って来たが。

「ありがとう、ありがとうと思いました。投げろ、投げろって。でも時々、違うボールを投げる奴がいるから、それがちょっと怖かった」

——今年、技術的なヒントを手にしたのか?

「まあ、これまでとは違うでしょう。少なくとも去年とは全く違うし、ただ、プラスというより、マイナスがゼロになったという感じですけどね」

——どんな変化だったのか?

「去年変えたことがあって、それを続けてくつもりだったんですけど、それがどうやら違ったんでね。シーズン中に変わっていたことです」

——ウエード・ボッグスと肩を並べた。

「名前しか知らない。僕は実際見てないですから、とても軽いことは言えないですね」

——自分を代表する数字がいくつかあるかと思うが、それは200か262か?

「車のナンバーは262ですけどね、200ではないですね。そもそも、262は僕しかやってない。僕だけのものなんで」

——今年は、プレーオフ争いの中での達成となったが、過去3年と比べてどうか?

「9連敗のあとなんで、雰囲気は良くないけどね。むしろ、最悪でしたけどね。でも、どんな状況でも、個人の仕事はやらなきゃいけないと僕は考えてますから、今年も今までと違う状況が、現にあったわけですから、そこで同じように数字を残すことっていうのは、マストですね」

——まだ25試合あまり残しているが、やはりホッととした?

「あんまりしてない。でも、190にいったときに、ホッとした。ロードっていうのもある。ホームだったら違うかもしれない」

——7年、けがをしなかった。

「けがしてますよ、僕も。でも(試合に)出てるだけの話でね。まあ、使う側としたら、リスクのない選手でいたいよね。こうやって、この数字を続けている限りは、僕が試合に出たいと思うことは分かっているわけだから、特に契約した後って、使う側としたら、そういう不安がつきまとうものでしょ。そういう選手ではありたくないよね。そういう奴、実際いるしさ」

Friday, July 13, 2007

<イチロー>マリナーズと5年契約 年俸総額約109億

2007年7月14日 (土) 10:51 毎日新聞

米大リーグ、シアトル・マリナーズは13日、イチロー外野手(33)=本名・鈴木一朗=と5年契約を結んだと発表した。AP通信によると、年俸総額は9000万ドル(約109億8000万円)で、総額、年平均ともに日本選手史上最高となった。今季が4年総額4400万ドルの契約最終年にあたり、去就が日米で大きな関心を集めてきた。
 イチローの1年平均の年俸は1800万ドル(約21億9000万円)となり、これまでの日本人選手最高だった松井秀喜外野手(ヤンキース)の1300万ドル(約15億8000万円)を抜いた。大リーグの今季最高年俸はアレックス・ロドリゲス内野手(ヤンキース)の2771万ドル(約33億8000万円)。
 イチローはメジャー1年目の01年に首位打者を獲得。04年には大リーグシーズン最多の262安打を記録。7年連続出場を果たした今年のオールスター戦では、日本人初のMVPに輝いた。
 ◇イチローの「革命性」、改めて浮き彫りに
 イチローが5年総額9000万ドル(約109億8000万円)でマリナーズに残留することが13日、決まった。破格の待遇は、球団経営におけるイチローの重要性を示すとともに、メジャーの常識をことごとく覆してきたイチロー独自の存在価値を、金銭面で裏付ける形となった。
 「マリナーズは、いしずえを失わずにすんだ」。AP通信は、イチローのマリナーズ残留をそう表現した。1年平均の年俸1800万ドルは、AP通信が4月に報じた今季の選手年俸ランクに当てはめると、ロドリゲス、ジアンビ、ジーターのヤンキース勢に続く額。マリナーズの経営にかかわる任天堂グループは、それに見合う看板選手という位置づけをしたとみられる。
 さらに5年という長期契約について、マリナーズのバベシ・ゼネラルマネジャーは「我々の目標はイチローに生涯シアトルでプレーしてもらうこと。今回の契約はそれに向けた大きなステップとなった」と語った。FA制の導入以後、一つのチームに生涯とどまることはまれになっているが、イチローが39歳になる2012年までの契約を結んだことで、その可能性は高まった。
 ロドリゲスに代表されるように高額年俸は長距離打者が多いが、イチローはリードオフマンとして破格の待遇を受ける。04年にシーズン最多の262安打をマークし、今年の球宴では史上初のランニング・ホームラン。メジャー1年目から、スピードと卓越した技術で、パワー全盛だったメジャーに衝撃を与え続けてきたイチローの「革命性」が、改めて浮き彫りになった。

残ってくれ、来年も」の声が重かった イチローの一問一答

イチロー外野手が、シアトル・マリナーズと2012年まで正式に契約を延長した。以下は、当地で行われた記者会見の内容。

——いつ決めたのか?
「いつという、この日はないんですけども、このシーズンが始まって、いろんな遠征にいくわけですけど、その時に、アウエーのファンがビジターの僕に対して、『来年は、うちのチームに来てくれ』と、言ってくれたんですね。正直、心が動いた時期もありました。日本のファンからは、日本に戻ってきてくれと、たくさん聞きました。でも最終的には、遠征から帰ってきて、『シアトルに残ってくれ、来年も』というその声が、僕にとっては一番重かった。これが一番の理由だと思います」

——マリナーズで引退を考えているか?
「ひとつのチームでプレーするということは、なかなかたくさんのプレーヤーができるわけではないと思うんですね。その可能性、チャンスを与えてくれたことに、感謝していますし、向こう5年半、思いっきりやって、5年契約の後の10年(契約)を勝ち取りたいと思ってます」

——契約問題の煩わしさが消えたか?
「キャンプの初日に、フリーエージェントに関しては、今日だけにしてくれと言ってきたんですけども、そのことが7月に入ってから、またちょっと騒がしくなってきて、これがすべて終わったと思うと、契約したことと同じくらい、うれしいですね」

——誰が一番影響を与えたか?
「一弓ですね」

——なんて?
「ワンワンワン言ってた」

——チームの方向性については?
「今の状況というのは、(優勝を)十分考えられる。僕たちのポテンシャルを考えれば、十分考えられる成績ですし、この2、3年、苦労してきたチームが、ようやく実り始めた、というふうに感じています。この5年というのは、十分に可能性のあるチームで居続けることができると、僕は思ってます」

——チームメートなど、周りの人がどんな影響を与えたか?
「チームメートに、自分が考えている野球に対する考え方とか物事に対する価値観が全く伝わらないというのはつらいものですが、幸いにしてこのチームには、何人かその価値観を共有できる人たちがいるので、そのことは確かに僕にとって大きな助けになった」

——5年後がイメージできる?
「パフォーマンスに関してはもちろん、その自信がありますし、見た目もこのままでいたい。急にアロハシャツとか着出したら、ちょっと、ここに染まった証になりますから、それは避けたい。まあ、DH(指名打者)にはなりたくない」

——トニー・グウィン、カル・リプケン(いずれも、ひとつの球団でキャリアをまっとうし、今年野球殿堂入りする名プレーヤー)らをどう考えているか?
「そういう選手の方が、少ないですからね、アメリカでは。日本だと、外に出ることの方が難しい、というか、珍しいことですよね。ここでは全く逆なんで、茶髪の増えた中で、黒髪がすごくきれいに見えたり、すごくかっこよく見える」

——評価について、どう考えているか?
「ひとりの選手に対して、これだけの評価を与えてくることは、それを示している。この評価って、年俸が500万円だとしたら、弥生時代からプレーしないと、達成できない数字なので、その評価ってすごいと思うんですよ。1000万でも、多分平安時代ぐらいですから、このことが、僕にとっては、個人としてはね、気持ちを表してくれた。チームの意識も、勝っていくことによって変わってきている。動きも変わってきている。このことを実感できたことが大きかった」

——自分で選ぶ体験というのは?
「想像通りでしたね。流れに任す方が、よっぽど楽だなあと想像してましたし、その通りだった。力のいることだった。ただまあ、そういう選べる立場にいることは、選手として、すごく幸せなことなんで、そうやって、6年半、自分をプレーヤーとして高めてこられたことには満足してます」

——苦しさは?
「遠征先のベットに入ったときにも、考えることってあるんですよ。この街に来たらどうなるかとか。それは、できればない方がいいですから」

Sunday, January 14, 2007

(2007年1月11日06時01分 スポーツ報知)

イチロー自身も今年、大きな節目を迎える。マリナーズとの4年契約の最終年。新人から7年連続200安打の金字塔も控えている。「(200安打の直前は毎年)想像を超えた緊張感に襲われて、体が動けなくなる。そういう切迫した状況になったときに、技術でカバーできる自分でいたい」と、精神面を超越するテクニックを身につける目標を立てた。

Sunday, December 03, 2006

(2006年12月4日06時04分 スポーツ報知)

 米大リーグ、マリナーズのイチロー外野手(33)が3日、大阪市内のホテルで行われた「山田久志野球殿堂入り祝賀パーティー」に出席。レッドソックスと入団交渉中の西武・松坂大輔投手(26)との対戦へ熱い思いを口にした。メジャーで6年プレー、首位打者を2度獲得しているスーパースターが「僕の奥底に眠っているものを沸き起こしてほしい。彼に対して挑戦者として向かっていく」とエール。2000年以来7年ぶりの勝負を心待ちにしていた。

 松坂への熱い思いが、イチローの口から飛び出した。壇上で司会者から、来季メジャーに挑戦する日本人選手について訪ねられた時だ。「特に松坂に関してですね。初めての対戦が因縁でしたから」穏やかだった表情の奥が、一瞬光った。

 イチローが「もっとも美しい野球選手」と、あこがれた山田氏の殿堂入りパーティー。7歳年下の怪物に送った初めての“肉声”のエールには、抑えきれないライバル心が見え隠れした。「99年ですね。(最初の対戦から)8年ぶりに再会することになるんですか」

 99年5月16日。18歳と25歳の注目の初対決は、イチローが3三振を喫し、平成の怪物の引き立て役に回った。通算成績は34打数8安打、打率2割3分5厘。レッドソックスの入札が決定した11月15日には「久しぶりの対戦は楽しみだけど、ちゃんと練習してこいよ」と先輩としてのメッセージを送ったが、この日の言葉には雪辱の思いがこもっていた。

 最大級の、激励だった。往年の名投手、山田さんに「アメリカにもサブマリンはいますが、ものすごいピッチャーはそういない」と話した一方で、「(最近は)ものすごく(自分の)闘志をかきたてるピッチャーが少なくなっている。ぜひ、松坂大輔に、僕の奥底に眠っているものを沸き起こしてほしい」と語ったイチロー。開幕3カード目の4月10日からの敵地ボストン3連戦が、公式戦7年ぶりの雪辱の舞台になる。

 山田氏のパーティー出席のため25日に帰国したイチローは、すでに神戸市内のオリックス合宿所で極秘練習をしていた。前日の2日夕方、ジャージー姿で現れ、1人トレーニングルームで汗を流したスーパースター。「彼(松坂)に対しては、挑戦者という気持ちで向かっていきたい」怪物との再戦の期待を胸に、メジャー7年目のイチローが動き始めた。

Monday, October 02, 2006

イチロー総括、「勝つことで作られる何かがある

http://www.major.jp/news/news20061002-17738.html

地元ファンが総立ち拍手 イチロー「苦しかった」

by 共同通信社

 明らかに本塁打を狙っていた。第1打席で右越え本塁打したイチローは「ひょっとして、僕、かっこいいのかな」とおどけながら、試合後の記者会見を切り出した。

 2年ぶり3度目のア・リーグ最多安打。最後の打席では空振り三振に倒れたが、地元ファン総立ちの拍手が、ベンチに戻るイチローの労をねぎらう。「あれはうれしかった。ファンに何かを見せることができたのかも」。過去5年と比べ、最も長く感じたというシーズンは温かく、穏やかに終わった。

 6年連続で200安打、100得点を達成した。「苦しかった。(途中)あんなに野球が難しいのか、こんなにしんどいのか、と何度も思った。でも、その後で野球はやっぱりおもしろいと思った」(シアトル共同)